トンデモ万能薬

北朝鮮による難病治療薬の話
医療関係者ならずともよくしられている話題として「クムダン2」という薬の話があります。
「クムダン2」とは、北朝鮮が一時大流行した韓国でのMERSウイルスに対して絶大な効果があるとうたったワクチンのことで、これを試用すればMERSの他にもエイズやエボラ出血熱のような現在では治療が極めて難しいとされる病気もたちどころに治るとアナウンスがされていました。
北朝鮮当局の発表によると、この「クムダン2」は朝鮮人参から抽出したエキスと希土類を加工したものであるということで、これまでもSARSや鳥インフルエンザ、さらに数多くの悪質な流感も全て治すことができたというふうに言われます。
医療関係者なら誰しもこの話を聞いただけで「?」と胡散臭い気持ちになることでしょうが、実際この「クムダン2」の効果については大いに怪しむべき点があるというのが現実です。
ついでではありますが、「クムダン2」の効果は上記に記載した難病だけでなく、肝硬変や膵臓炎、大腸炎、ポリープ、胃炎、臓器出血、歯痛、ガン疾患、不整脈、発育不全などなどにおよぶというのですからまさに本当ならなんでもありの万能薬ということになってしまいます。
日本でも笑えない医療神話
このような話を聞くと、「そういうお国柄なんだろう」と笑い飛ばしたくなってしまうかもしれませんが、日本においても決して人事ではありません。
確かにここまで大げさに喧伝するようなことはないものの、日本でもしばしばこうしたトンデモ医学の情報は蔓延することがあるためです。
どうも日本におけるトンデモ医学には周期があるようで、何年かに一度くらいの割合で「医師の処方する薬は全部インチキ」や、「特定の食品には強い毒素が含まれている」といった不安を煽る情報が出てきたりします。
そうしたトンデモ医学に騙される人が多いというのはそれだけ医療や健康についての感心が高いということなのでしょうが、あまりにも極端な話をする人を見かけたら仮に有名な教授や先生であっても一度疑ってかかることをすすめたいです。